大判例

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福井地方裁判所 昭和57年(行ウ)5号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

【説明】

「原告は、昭和五六年一二月二一日午後六時二〇分ころ、普通乗用自動車を運転して福井県内の国道二七号線を西進していたところ、前方道路が工事中であるため交通整理にあたつていた警備員を前方に認め、急制動の措置をとつたが間に合わず、同人を自車前部に衝突させ、頭部打撲等の傷害により死亡させる交通事故を起こした。」

【判旨】

四次に、被告は、本件事故は専ら原告の右不注意により発生したものである旨主張する。

前記認定事実によれば、本件事故は原告が37.5メートル前方に黒い影を認めたにも拘らず、何らの措置をとることなく、不適切な速度で運転を継続したことにより発生したものであつて、原告が自動車運転者として通常要求される注意義務を尽くしていたなら、何ら本件事故の発生をみなかつたことが明らかであるから、被告主張のとおり、本件事故は専ら原告の右不注意によつて発生したものと認めるのが相当である。

原告は、この点につき、本件事故は、当時、道路工事を強行していた工事関係者の設備の不適切、石島の服装、行動の不適切等に起因するところが大である旨主張する。

しかしながら、道路工事が道路使用許可の時間を超過して続行され、しかも夜間工事としては必ずしも十分な設備がなされていなかつたという状況があるにしても、本件事故は右の工事が直接の原因となつて発生した事故ではないし、もとより右工事のために原告が適切な運転をなしえなかつたという場合でもなく、工事自体が原告の運転に何らかの影響を与えたために本件事故に至つたものとは認められない。

また、石島の服装についても、通常の歩行者に比較すればむしろ発見しやすい装備を備えていたというべきであるし、その行動についても、前認定のとおり、石島の逃げた方向が原告がハンドルをきつた方向と一致したため、結果的に石島が原告車両の前面に出る形になつたのにすぎないのであつて、これをもつて飛び出し事故ということはできない。また、他に本件証拠を検討しても石島が不適切な行動をとつたと窺わせる証拠もない。

そして、本件事故現場付近は、相当の車両交通量があることは前記認定のとおりであるが、弁論の全趣旨によれば、当日の日没から本件事故発生までの約一時間半にわたつて本件事故現場を通過した車両は何らの事故も起こしていないものと認められるのであつて、このことからも、通常の注意を保つて運転していたならば、何ら事故を起こすような客観的状況ではなかつたものと認めるのが相当である。

そうすると、前記のとおり、本件事故は、原告が前方に黒い影を認めた時点でただちに適切な措置をとることによつてすべて回避しえたことが明らかであつて、原告主張の諸要因がこれに影響を与えたとは認められないから、原告の主張は採用できない。

以上によれば、本件事故の際の原告の運転には、安全運転義務に反する点があり、本件事故は、専ら原告の右不注意によつて発生したものと認めるのが相当である。

五原告には右のとおりの違反が認められるところ、違反点数の計算方法は抗弁5のとおりであり、右によれば、原告の本件事故の際の違反点数は合計一五点に達し、免許取消しが可能な点数となることが認められる。

(高橋爽一郎 園部秀穗 石井忠雄)

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